「スノードーム」はこういう本

(文章の本「スノードーム」が発売する。ウェブメディア「生きのびるブックス」で連載していたもの。2022年と2023年の丸2年、月1連載していた。)
中高生の頃、自分は小説とかに興味がなくて、文字だけの本も全然読んだことがなかった。でもなんとなく、本を読んだりしてみたい気持ちはすこしあるような…という感じだった。
だけど結局、本を読む機会は全然増えなかった。見える範囲にあった小説や物語は、人間が成長したり友達や仲間と何かして何かを思ったり、巧妙に殺されたり、そういうものが多かった。どれもこれも素晴らしくて読みやすいものなんだろうけど、自分は全然興味がなかった。友達が歴史小説を読んでいて、それはすこしだけ読める気がしたけど、すぐ飽きた。
歴史小説はすぐ飽きたけど、それでもこのことは良いきっかけになった。武将が出てきて、たくさんの兵士に配る、安くて丈夫な金属武器をどうしようか悩んでいたり、「今の自分からめちゃくちゃ遠い状況」が書かれていて、世界の広さみたいなものを感じられて、それは嬉しかった。
その後しばらくして、「天体の観測手段が改良されてきた歴史について書かれた本」とか「麻酔がまだ発明されていなかった時代がどんなに大変だったか書かれた本」とか、美術作品を説明する本とか、論理学の本とか、登山の記録とか、なんかそういう、自分が楽しめる本がいくらでもあるんだということを知って、ちょっとずつ読んでは、そのたびに「自分って何なんだろう」みたいなことを思ったりしていた。
で、「スノードーム」は、そんな中高生だった自分に向けて作った感じもする。
書き始めるときに、誰かにとって「初めて最後まで読めた文章の本」になってもおかしくないものをイメージした。まず、挿絵が異常に多い必要があると思って、切手みたいなサイズの挿絵をたくさん入れることにした。そのために、文章は細切れになっていたほうがいいと思って、「第1章」みたいな区切りじゃなくて、文章番号がついた短文が何百も続いている形にした。

最初のイメージは、四柱推命とかの占いの本、電話帳、讃美歌とかの歌集、四季報、ポケット聖書、そういうものを参考にしながら想像してみた。
家電の説明書のように、順番通りにハキハキ、誤読の可能性が低い文章を心がける。登場人物は、自分のことを「自分」と言う。「彼」とか「彼女」という言葉は1度も出てこない。「はじめに」とか「あとがき」を作らない。そういうことを色々決めて、最後まで書いた。めちゃくちゃ変なものでもないけど、よく分からないものになってるとは思う。
でも内容は変じゃないと思う。「1から6までのサイコロを投げるときに、7が出る可能性について考えるようなことはしなくていい」とか、「社会は宇宙や地球の中にあるから、宇宙や地球について知っていることが多いと、社会で起こることについても考えやすい」とか、「落ち着いて考える」ということについて書いた物語になってる。
ストーリーとしては「世界滅亡を予感した主人公たちが、混乱しないように、ほどよく悩んでいく」という形になっている。
