Unihertzタイタンで書いた

文章の本「スノードーム」が発売する。ウェブメディア「生きのびるブックス」で連載していたもの。2022年と2023年の丸2年、月1連載していた。
2年間の連載が始まる1年ちょっと前(2020年9月)に依頼をもらって、どういう形のどんなものなら書きたいかを考えたりしていた。そして2021年4月に、「スノードーム」を書くためにUnihertzというメーカーのTitan(初代タイタン)というスマートフォンを買った。

初代タイタンは、重くてごつい端末で、物理キーボードがついている。2020年の3月頃からパンデミックの勢いが激しくなってきて、当時住んでいたドイツでロックダウンが始まっていたこともあって、散歩のついでに外で書ける端末として買った。実際、「スノードーム」は最初から最後までほとんどタイタンで原稿を作っている。書く前のメモとかは紙が多くて、タイタンで作業した後はパソコンで整えたり、書き直したり。

元々自分はブラックベリーを使っていたり、フルキーボードがついている端末が好きだ。なぜ、キーボード付き端末をすでに持っているのに新たに初代タイタンを買ったかというと、寸法だ。初代タイタンは横縦92.5x153.6mmで、初代ゲームボーイの90x148mmに近い。キーの位置や範囲、押した感じも悪くないので、「ゲームボーイ持ち」をしてがっつり文章を書くこともやりやすいと思った。

「がっつり文章を書く」といっても、長時間書くことじゃなくて、ストレスなく熱中する、みたいなことに近い。ゲームボーイ持ちをすることによって、心身ともに「遊びの体勢」に入る。遊びになれば、「上手に書かなきゃ」とか「売れなかったらどうしよう」とか雑念が消える。たとえ30分でも、書く内容に入り込んで、のびのび作業することが自分には大事だ。「AquaMozc for Titan」(タイタンで日本語を打つためのアプリ)と、「Nola」(作家向けのエディタ)もとても助けになった。
さっき書いたけど、タイタンは重いしごついので、別に誰にもおすすめしない。タイタンで書いたから素晴らしいものができたとも思っていない。だけど24か月の連載を、熱中して作業できたのはタイタンのおかげが大きい。楽しく作り続けることとか、予定通り完成できることが、何十年も持続できているのは、こういうものたちに支えられているからだ。
(以下、さらにどうでもいい話)ゲームボーイには、初代以外にも色んな種類がある。自分が一番遊んでいたのは「ゲームボーイカラー」で、次に「ポケット」だ。だから初代よりちょっと小さいサイズのほうが、持った時に「入り込む」ことができるんだけど、フルキーボードが「カラー」や「ポケット」の幅だと、自分にとっては窮屈だ。ちまちましたキーボードも大好きだけど、それで1万字書こうとは思わない!
